FXと外貨預金の始め方はどう違う?投資初心者が選ぶべきポイントを解説

FXの始め方

外貨に興味を持ち始めたとき、真っ先に迷うのが「FXと外貨預金、どっちから始めればいいの?」という疑問ではないでしょうか。どちらも外貨を扱う投資という点では同じですが、実は始め方から仕組み、リスクまで全く違うんです。

FXと外貨預金の始め方を比較すると、口座開設の手続きや必要な準備、さらには取引の自由度まで大きな差があることがわかります。初心者の方にとっては、この違いを理解することが最初の一歩になるはずです。本記事では、統計データも交えながら、それぞれの特徴や始め方の違いをやさしく解説していきます。

FXと外貨預金、どっちが初心者向き?

1. 外貨預金は「買う」だけ、FXは「売る」からも始められる

外貨預金とFXの最も基本的な違いは、取引の方向性にあります。外貨預金は円を外貨に両替して預けるだけなので、円安になったときにしか利益が出ません。つまり、ドルやユーロを「買う」という一方通行の取引なんですよね。

一方でFXは、外貨を「買う」ことも「売る」こともできるんです。円高が進むと予想したら、最初から外貨を売る取引(ショート)で入ることができます。この柔軟性がFXの大きな特徴で、相場がどちらに動いても利益を狙えるチャンスがあるというわけです。

初心者の方にとって、この違いは意外と重要かもしれません。「円高と円安、どっちに動くかわからない」という不安がある場合、FXなら両方の方向に対応できるので、戦略の幅が広がります。ただし、選択肢が多い分だけ判断も必要になるので、シンプルさを求めるなら外貨預金のほうが向いているでしょう。

2. レバレッジがないから、外貨預金のほうが安心というのは本当か?

「レバレッジは怖い」というイメージを持っている方は多いですよね。確かに外貨預金にはレバレッジがなく、預けた金額以上の損失は発生しません。一方、FXは最大25倍のレバレッジをかけられるため、少額の資金で大きな取引ができる反面、損失も拡大する可能性があります。

しかし、ここで誤解しないでほしいのは、「レバレッジは必ず使わなければいけないものではない」という点です。FXでもレバレッジ1倍で取引すれば、外貨預金とリスクはほぼ同じになります。つまり、レバレッジをどう使うかは自分でコントロールできるんですよね。

むしろ問題なのは、外貨預金には「途中で引き出すと元本割れのリスクがある」という点です。満期前に解約すると、為替手数料が往復でかかる上に、タイミング次第では大きな損失を被ることもあります。一見安全そうに見える外貨預金にも、見えにくいリスクがあるということは覚えておいたほうがいいでしょう。

3. 手数料の違いは想像以上に大きいかもしれない

手数料の差は、FXと外貨預金を比較する上で最も重要なポイントの一つです。外貨預金の場合、銀行によって差はありますが、米ドルで片道50銭〜1円程度の為替手数料がかかることが一般的です。往復だと1円〜2円もの手数料が発生するため、この分を取り戻すだけでも相場が大きく動く必要があります。

対してFXは、スプレッド(買値と売値の差)が実質的な手数料になりますが、米ドル円なら0.2銭〜1銭程度と圧倒的に低コストです。つまり、同じ金額を運用する場合、FXのほうが手数料負けしにくいという大きなメリットがあるんです。

年間の為替変動率が平均10%前後であることを考えると、往復2円の手数料は決して無視できない金額です。特に短期的な値動きで利益を狙いたい場合、手数料の差が収益に直結するため、コスト面ではFXに軍配が上がるでしょう。

FXと外貨預金の始め方はこんなに違う

1. 外貨預金の口座開設は銀行窓口かインターネットで完結

外貨預金を始める場合、すでに普通預金口座を持っている銀行であれば、比較的スムーズに手続きが進みます。多くの銀行では、インターネットバンキングから外貨預金口座を開設できるため、わざわざ窓口に行く必要はありません。

必要なものは本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)と、既存の円預金口座だけです。手続き自体は10分程度で完了し、早ければ即日から取引を始められます。ただし、銀行によっては窓口での手続きが必要な場合もあるので、事前に確認しておくといいでしょう。

外貨預金の始め方は非常にシンプルで、投資経験がない方でも迷うことは少ないはずです。すでに使い慣れた銀行のシステムで完結するため、心理的なハードルも低いかもしれませんね。

2. FX口座の開設はスマホから最短即日で取引スタート可能

FXを始める場合、まずFX会社で専用の口座を開設する必要があります。最近ではスマホで申し込みが完結するケースが多く、本人確認書類をアップロードするだけで手続きが進みます。

口座開設に必要なものは、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)とマイナンバー確認書類の2点です。審査は通常1〜3営業日程度で完了し、早いところでは最短即日で取引を始められる会社もあります。

FX口座の開設自体は難しくありませんが、外貨預金と違って「どのFX会社を選ぶか」という選択肢があるのが特徴です。スプレッドの狭さ、スワップポイントの高さ、取引ツールの使いやすさなど、比較ポイントがいくつかあるため、最初は少し迷うかもしれませんね。

3. 必要書類はほぼ同じだけど、審査基準には差がある

外貨預金もFXも、必要書類は本人確認書類が中心で大きな違いはありません。ただし、審査の厳しさには明確な差があります。

外貨預金は銀行の預金商品なので、ほとんどの場合、審査らしい審査はありません。すでに普通預金口座を持っていれば、ほぼ確実に外貨預金口座を開設できるでしょう。

一方、FXは金融商品取引法に基づいた投資商品のため、一定の審査基準が設けられています。年齢制限(18歳以上、会社によっては20歳以上)や、金融資産の状況、投資経験の有無などが確認されることもあります。ただし、審査といっても厳しいものではなく、基本的な条件を満たしていれば問題なく開設できるケースがほとんどです。

つまり、手軽さで言えば外貨預金、選択肢の多さで言えばFXという感じでしょうか。自分のライフスタイルや投資スタイルに合わせて選ぶのがベストですね。

利益の受け取り方が全然違うという話

1. 外貨預金は満期まで待つ、FXは毎日スワップポイントが発生

外貨預金の利息は、満期を迎えたときに一括で受け取る仕組みです。定期預金タイプなら、預け入れた期間に応じた金利が満期時に付与されます。途中で解約すると金利がつかない、もしくは大幅に減額されることもあるため、基本的には満期まで待つ必要があるんですよね。

対照的に、FXでは「スワップポイント」という仕組みで、毎日金利差相当額が発生します。高金利通貨を買って低金利通貨を売る場合、ポジションを保有している限り、毎日少しずつスワップポイントが口座に反映されます。この「毎日もらえる」という感覚は、外貨預金にはない魅力かもしれません。

ただし、逆のポジション(低金利通貨を買って高金利通貨を売る)を持つと、スワップポイントは支払いになるので注意が必要です。外貨預金は金利がマイナスになることはありませんが、FXはポジションの持ち方次第でコストが発生することもあるんです。

2. 円高でも円安でも利益を狙えるのはFXだけ

外貨預金の為替差益は、預け入れたときより円安になった場合のみ発生します。つまり、円高が進む局面では、どんなに待っても為替差益は得られません。むしろ、円高になればなるほど評価額は下がってしまうため、満期まで我慢するしかないという状況になります。

一方、FXなら円高局面でも利益を出すことが可能です。最初に外貨を「売る」ポジションを持っておけば、円高が進むほど利益が増えていきます。この「どちらの方向でも取引できる」という自由度は、FX最大の強みと言えるでしょう。

特に最近のように、円高と円安が頻繁に入れ替わる相場環境では、FXの柔軟性が活きてきます。外貨預金だと「買ったタイミングが悪かった」で終わってしまいますが、FXなら戦略を変えて対応できるんですよね。

3. 利息と為替差益、どちらを重視するかで選び方が変わる

外貨預金を選ぶ理由の多くは「金利の高さ」にあります。日本円の預金金利がほぼゼロに近い中、米ドルや豪ドルなど高金利通貨に預けることで、相対的に高い利息を受け取れるのは魅力的です。為替差益よりも、安定した利息収入を重視する方には向いているでしょう。

対してFXは、スワップポイントも得られますが、どちらかといえば為替差益を狙う取引がメインです。短期的な値動きを利用して、数銭〜数円の利益を積み重ねていくスタイルが一般的なんですよね。もちろん、長期保有でスワップポイントを貯めるという戦略もありますが、外貨預金のような「満期まで放置」という感覚とは少し違います。

つまり、利息重視で安定志向なら外貨預金、為替差益を積極的に狙いたいならFXという選び方が合理的かもしれません。ただし、どちらを選んでも為替リスクは存在するため、自分のリスク許容度を考えることが大切です。

実は見落としがち!税金と保全の仕組みの違い

1. 外貨預金の為替差益には最大55%の税金がかかる可能性がある

外貨預金の税制は、意外と知られていないポイントです。外貨預金で得た利息は、通常の預金利息と同じく20.315%の源泉分離課税が適用され、自動的に差し引かれます。ここまでは問題ないのですが、厄介なのは為替差益の扱いなんですよね。

外貨預金の為替差益は「雑所得」として総合課税の対象になります。つまり、給与所得など他の所得と合算され、累進税率が適用されるんです。所得が多い方の場合、最高税率は住民税を含めて55%にもなる可能性があります。せっかく為替差益が出ても、半分以上が税金で消えてしまうというのは、かなり痛い話ですよね。

さらに、為替差益は確定申告が必要になるケースもあります。年間の雑所得が20万円を超えた場合、自分で申告しなければならないため、手間もかかります。この点は、外貨預金を始める前にしっかり理解しておいたほうがいいでしょう。

2. FXなら一律20.315%、しかも損失の繰越控除が使える

FXの税制は、外貨預金と比べてシンプルで有利な点が多いです。FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税が適用され、税率は一律20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)です。どれだけ利益が出ても税率は変わらないため、高所得者の方には特にメリットが大きいでしょう。

さらに、FXには「損失の繰越控除」という制度があります。もし今年損失が出た場合、その損失を翌年以降3年間繰り越して、将来の利益と相殺できるんです。長期的に投資を続ける上で、この制度は非常に心強いですよね。

確定申告は必要ですが、外貨預金のように所得が増えるほど税率が上がることはありません。税制面での透明性と有利さは、FXの大きな強みと言えるでしょう。

3. 外貨預金はペイオフ対象外、FXは資産保全の仕組みがある

資産保全の観点でも、両者には重要な違いがあります。外貨預金は「預金」という名前がついていますが、実はペイオフ(預金保険制度)の対象外です。つまり、万が一銀行が破綻した場合、外貨預金は保護されず、全額失われる可能性があるんですよね。

一方、FXには「信託保全」という仕組みがあります。FX会社は顧客の資産を信託銀行に分別管理することが法律で義務付けられており、万が一FX会社が倒産しても、顧客の資産は全額保護されます。この点では、FXのほうが安全性が高いと言えるかもしれません。

「預金」という言葉の響きから、外貨預金のほうが安全だと思い込んでいる方も多いですが、実際には逆なんです。大手銀行が破綻するリスクは低いとはいえ、こうした制度の違いは知っておくべきでしょう。

統計データから見るFXと外貨預金の選び方

1. 年間変動率の平均は約10%前後、手数料負けしないための選択

為替相場の年間変動率は、過去のデータを見ると米ドル円で平均10%前後と言われています。つまり、1年間で110円から121円、あるいは100円まで動く可能性があるということです。この変動幅を考えると、手数料の重要性がよくわかります。

外貨預金で往復2円の手数料がかかる場合、為替レートが2円以上有利に動かなければ利益が出ません。仮に110円で米ドルを買った場合、112円以上にならないと手数料をカバーできないわけです。10%の変動幅の中で2円は決して小さくない数字ですよね。

対してFXなら、スプレッドが0.2銭〜1銭程度なので、手数料負けするリスクは格段に低くなります。統計的に見ても、短期〜中期の取引では手数料の差が収益に大きく影響するため、この点はしっかり考慮すべきでしょう。

2. 短期で利益を狙うならFX、長期で安定を求めるなら外貨預金

日本銀行の調査によると、個人のFX取引は短期的な売買が中心で、ポジションの保有期間は数日〜数週間というケースが多いようです。一方、外貨預金は1年〜5年といった長期の定期預金が主流です。

この違いは、それぞれの商品特性をよく表していますよね。FXは手数料が安くて取引の自由度が高いため、短期的な値動きを利用した取引に向いています。レバレッジを使えば少額資金でも効率的に利益を狙えるため、積極的な投資スタイルの方に適しているでしょう。

逆に、外貨預金は満期まで待つことを前提とした商品設計になっています。頻繁に売買する必要がなく、金利収入を安定的に得たい方には向いているかもしれません。ただし、長期で保有する場合でも、為替リスクは常に存在することを忘れてはいけませんね。

3. 少額から始めたいなら、レバレッジを活用できるFXが有利

資金面での敷居の低さも、FXと外貨預金で違います。外貨預金は、たとえば1万ドルを預けようと思ったら、1ドル=150円の場合150万円が必要です。銀行によっては少額からでも始められますが、為替手数料の影響を考えると、ある程度まとまった金額が必要になるでしょう。

一方、FXはレバレッジを活用することで、少額の証拠金から取引を始められます。たとえば1万ドルの取引を25倍レバレッジで行う場合、必要な証拠金は約6万円程度です。初心者が「まずは試してみたい」という場合、この資金効率の良さは魅力的ですよね。

ただし、レバレッジは諸刃の剣です。資金効率が良い分、損失も拡大しやすいため、最初は低レバレッジから始めることをおすすめします。統計的にも、少額から投資を始めて経験を積むという点では、FXのほうが柔軟性があると言えるでしょう。

初心者が選ぶべきポイントは「リスク許容度」と「時間」

1. 忙しくて相場を見られない方は外貨預金が向いているかもしれない

日中は仕事で忙しく、相場をチェックする時間がほとんど取れないという方も多いでしょう。そういう場合、FXで短期売買をするのは現実的ではありませんよね。相場が急変したときに対応できないと、思わぬ損失を被る可能性があります。

外貨預金なら、預け入れたら基本的に満期まで放置できるため、時間的な余裕がない方でも安心です。相場を毎日チェックする必要がなく、精神的な負担も少ないでしょう。ただし、その分だけ為替リスクに対して無防備になるという側面もあります。

もちろん、FXでも長期保有でスワップポイントを狙う戦略はありますが、それでも定期的なチェックは必要です。自分のライフスタイルに合わせて、無理なく続けられる方法を選ぶことが大切ですね。

2. 積極的に利益を狙いたいなら、FXのほうが柔軟性が高い

「外貨投資で少しでも利益を出したい」という積極的な姿勢があるなら、FXのほうが選択肢は多いです。為替差益を狙うだけでなく、スワップポイントも併せて受け取れますし、相場がどちらに動いても対応できます。

また、FXは24時間取引できるため、自分の都合に合わせて売買のタイミングを選べます。夜間や早朝でも取引可能なので、副業として取り組む方にも向いているでしょう。外貨預金は銀行の営業時間に縛られることが多いため、この点でもFXは便利です。

ただし、柔軟性が高いということは、それだけ判断の機会も多いということです。「買うか売るか」「いつ決済するか」など、自分で決めなければならないことが増えるため、ある程度の学習意欲や判断力は必要になりますね。

3. まずは少額で試してみるという選択肢もある

「FXと外貨預金、どちらが自分に合うかわからない」という場合、実際に両方試してみるのも一つの方法です。FXなら数千円から、外貨預金も最近では1通貨単位から始められる銀行もあります。

少額で始めることで、実際の値動きや取引の感覚をリスクを抑えながら体験できます。頭で理解するのと、実際にお金を動かしてみるのとでは、感覚がまったく違うはずです。損失が出たとしても、少額なら勉強代として割り切れるでしょう。

特にFXは、デモ口座を提供している会社も多いので、まずはそこで練習してから本番に移行するという手もあります。外貨預金とFX、どちらか一方に絞る必要はないので、自分のペースで試しながら判断していくのが賢明かもしれませんね。

まとめ

FXと外貨預金の始め方や仕組みを見てきましたが、どちらが優れているというわけではなく、自分の目的やライフスタイルに合わせて選ぶことが重要です。

  • 外貨預金は買う方向のみ、FXは売り買い両方可能
  • レバレッジはFXの特徴だが使わなくてもいい
  • 手数料はFXが圧倒的に安い
  • 外貨預金の為替差益は総合課税、FXは一律20.315%
  • 外貨預金はペイオフ対象外、FXは信託保全あり
  • 短期取引ならFX、長期保有なら外貨預金
  • 忙しい方は外貨預金、積極派はFX
  • 少額から試すならFXが有利

最終的には、自分のリスク許容度と投資に使える時間を考えて判断するのがベストです。どちらを選んでも為替リスクは存在するため、しっかりと勉強してから始めることをおすすめします。まずは少額から始めて、徐々に自分に合ったスタイルを見つけていくといいでしょう。

クロイ

学生時代に統計を学んだ経験から、数字やデータをもとにした分析を得意としています。普段のトレードではテクニカル分析を中心に、シンプルで誰でも実践しやすい手法を大切にしています。

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