投資信託の基準価額とは?値動きの仕組みとチェックすべきポイントを紹介

投資信託を始めようと思ったとき、必ず目にするのが「基準価額」という言葉です。投資信託の基準価額は、簡単に言えば投資信託の値段のことなのですが、株価とは少し違った特徴があります。基準価額の仕組みを理解しておくと、投資信託を選ぶときや保有中の運用状況を確認するときに役立つはずです。この記事では、投資信託の基準価額とは何か、値動きの仕組み、そしてチェックすべきポイントについて詳しく紹介していきます。

目次

投資信託の基準価額とは何か?

投資信託の基準価額を理解することは、投資の第一歩です。基準価額という言葉は一見難しそうに見えますが、実はシンプルな概念なのです。

1. 基準価額は投資信託の「値段」のこと

基準価額とは、投資信託の値段を表す指標です。株式でいう「株価」に相当するものと考えるとわかりやすいかもしれません。ただし、株式の場合は1株あたりの価格ですが、投資信託では通常「1万口あたり」の価格として表示されます。

たとえば、基準価額が12,000円という場合、その投資信託を1万口購入するのに12,000円が必要ということです。投資信託を購入するときも売却するときも、この基準価額をもとに取引が行われます。初めて投資信託を見る方にとっては、なぜ1万口なのか不思議に思うかもしれませんが、これは投資信託業界で昔から使われている慣習なのです。

2. 基準価額は1日1回だけ更新される

株価は取引時間中に常に変動していますが、投資信託の基準価額は1日に1回だけ更新されるという大きな違いがあります。多くの場合、営業日の夕方から夜にかけて、その日の基準価額が公表されます。

基準価額が決まるタイミングは投資信託の種類によって異なります。

  • 国内株式型:その日の株式市場が閉まった後に算出される
  • 海外株式型:海外市場の取引が終了した後に算出されるため、翌営業日に公表されることもある
  • 債券型:債券市場の評価額をもとに算出される

そのため、朝に注文を出しても、実際にどの価格で購入できるかは夕方以降にならないとわからないのです。これは株式投資とは異なる投資信託ならではの特徴といえます。

3. 基準価額の計算方法を知っておこう

基準価額がどのように計算されているかを知っておくと、値動きの理解がさらに深まります。基準価額の計算式は次の通りです。

基準価額 = 純資産総額 ÷ 総口数

純資産総額とは、投資信託が保有している株式や債券などの資産の時価評価額から、運用にかかる費用などを差し引いた金額のことです。総口数は、その投資信託が発行している口数の合計を指します。

計算式自体はシンプルですが、この式から重要なことがわかります。それは、基準価額は「保有している資産の価値」と「投資家の数(口数)」の両方によって決まるということです。資産の価値が上がれば基準価額も上がりますし、逆に資産の価値が下がれば基準価額も下がります。

基準価額が動く仕組みを理解しよう

基準価額がどのような理由で変動するのかを理解しておくと、日々の値動きに一喜一憂することなく、冷静に投資を続けられるはずです。

1. 組み入れている株式や債券の価格変動で動く

基準価額が変動する最も大きな要因は、投資信託が保有している株式や債券などの価格変動です。たとえば、国内株式型の投資信託であれば、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数の動きに連動して基準価額も変動します。

海外株式型の投資信託の場合は、海外の株価に加えて為替レートの影響も受けます。アメリカ株に投資している投資信託なら、アメリカの株価が上がれば基準価額も上がりますし、円安になればさらに基準価額は上昇する仕組みです。逆に、円高になると海外資産の円換算額が減るため、基準価額が下がることもあります。

債券型の投資信託は、株式型に比べると値動きは穏やかですが、金利の変動によって債券価格が変わるため、基準価額も動きます。金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がるという関係があるのです。

2. 分配金が支払われると基準価額は下がる

投資信託の中には、定期的に分配金を支払うタイプのものがあります。分配金が支払われると、その分だけ純資産総額が減少するため、基準価額は下がります。

これは意外に思われるかもしれませんが、考えてみれば当然のことです。投資信託の資産から分配金として投資家にお金が支払われるわけですから、残る資産は減ることになります。分配金を受け取ったからといって得をしたわけではなく、自分の資産の一部を受け取っただけという見方もできます。

そのため、基準価額だけを見て投資信託の運用成績を判断するのは注意が必要です。分配金を多く出している投資信託ほど、基準価額は低く見えてしまうからです。

3. 信託報酬などの運用コストも影響する

投資信託を保有している間は、信託報酬という運用コストが日々差し引かれています。信託報酬は投資信託を運用・管理するための費用で、年率で表示されますが、実際には毎日少しずつ純資産総額から差し引かれているのです。

信託報酬の金額は投資信託によって異なります。一般的に、インデックス型の投資信託は信託報酬が低く、アクティブ型の投資信託は高い傾向があります。信託報酬が高いと、その分だけ基準価額の上昇が抑えられることになるため、投資信託を選ぶときは信託報酬にも注目することが大切です。

基準価額を見るときに知っておきたいこと

基準価額を正しく理解するためには、いくつか知っておくべきポイントがあります。これらを押さえておくと、投資信託選びで失敗するリスクを減らせるはずです。

1. 基準価額が高いからといって割高とは限らない

投資信託を選ぶときに「基準価額が低い方が割安でお得なのでは?」と考える方がいますが、これは大きな誤解です。基準価額の高い・低いは、その投資信託が割高か割安かを示すものではありません。

株式投資では、PERやPBRといった指標を使って割安・割高を判断しますが、投資信託の基準価額にはそういった意味はないのです。基準価額が10,000円の投資信託と20,000円の投資信託があったとして、単純に前者の方が安くて良いとは言えません。

基準価額の高低は、単にその投資信託の運用期間や過去の運用成績を反映しているだけです。長期間運用されて成績が良かった投資信託は、基準価額が高くなっている傾向があります。逆に、設定されて間もない投資信託は、基準価額が10,000円前後であることが多いのです。

2. 基準価額だけで運用成績は判断できない

投資信託の運用成績を見るときは、基準価額だけでなく「トータルリターン」を確認することが重要です。トータルリターンとは、基準価額の変動に分配金を加えた総合的な収益率のことです。

先ほども触れたように、分配金を出している投資信託は、その分だけ基準価額が下がります。そのため、基準価額だけを見ると運用成績が悪く見えてしまうことがあるのです。実際には分配金を受け取っているので、トータルで見れば利益が出ているかもしれません。

ほとんどの証券会社や運用会社のウェブサイトでは、トータルリターンを確認できるようになっています。投資信託の運用状況をチェックするときは、基準価額とあわせてトータルリターンも必ず見るようにしましょう。

3. 分配金を再投資した場合の基準価額もチェックしよう

投資信託の運用成績を比較する際に便利なのが「分配金再投資基準価額」という指標です。これは、分配金を受け取らずにすべて再投資したと仮定した場合の基準価額のことです。

分配金再投資基準価額を見ると、その投資信託が本当にどれだけ資産を増やせているのかがわかります。通常の基準価額は分配金を出すたびに下がってしまいますが、分配金再投資基準価額なら純粋な運用成績を確認できるのです。

複数の投資信託を比較するときも、分配金再投資基準価額を使えば公平に比較できます。運用会社のウェブサイトや運用レポートで確認できることが多いので、ぜひ活用してみてください。

基準価額はどこで確認できるのか?

基準価額の確認方法を知っておくと、日々の運用状況を手軽にチェックできます。

1. 証券会社や運用会社のホームページで確認できる

最も手軽な確認方法は、投資信託を購入した証券会社のウェブサイトやスマートフォンアプリを使う方法です。ログインすれば、保有している投資信託の基準価額や評価額が一目でわかります。

また、その投資信託を運用している運用会社のホームページでも基準価額を確認できます。運用会社のサイトでは、基準価額の推移グラフや運用レポートなども見られるため、より詳しい情報を得たいときに便利です。

投資信託協会のウェブサイトでも、国内で販売されているほぼすべての投資信託の基準価額を検索できます。複数の投資信託を比較したいときなどに活用するとよいでしょう。

2. 新聞でも基準価額をチェックできる

インターネットが普及した今でも、新聞の投資信託欄で基準価額を確認する方法は健在です。日本経済新聞などの経済紙には、主要な投資信託の基準価額が毎日掲載されています。

新聞での確認は、一覧性があって複数の投資信託を比較しやすいというメリットがあります。ただし、掲載されているのは主要な投資信託に限られるため、すべての投資信託が載っているわけではありません。

3. 基準価額が公表されるタイミングを知っておこう

基準価額が公表されるタイミングは、投資信託の種類によって異なります。国内の株式や債券に投資する投資信託の場合、当日の夕方から夜にかけて基準価額が発表されることが多いです。

一方、海外の資産に投資する投資信託は、時差の関係で翌営業日に基準価額が公表されることもあります。たとえば、アメリカ株に投資する投資信託なら、日本時間の火曜日に注文を出しても、適用されるのは火曜日のアメリカ市場終値で計算された基準価額となり、公表は水曜日になるのです。

注文した時点では基準価額がわからないという「ブラインド方式」が採用されているため、株式投資のように「この値段で買いたい」という指値注文はできません。これも投資信託の特徴の一つです。

基準価額をチェックするときのポイント

基準価額をどのくらいの頻度で、どのようにチェックすればよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。

1. 毎日チェックする必要はない

投資信託は長期投資を前提とした商品なので、基準価額を毎日チェックする必要はありません。むしろ、日々の細かな値動きに一喜一憂してしまうと、冷静な判断ができなくなる恐れがあります。

投資信託の基準価額は、短期的には上下を繰り返すものです。特に株式型の投資信託は、株式市場の動きに連動して日々変動します。しかし、長期的に見れば、経済成長とともに右肩上がりになることが期待できるのです。

月に1回程度、または四半期に1回程度の確認で十分でしょう。定期的に運用状況を確認して、大きな変化がないかをチェックする程度の付き合い方がおすすめです。

2. 相場に大きな変化があったときは確認しよう

普段は頻繁にチェックする必要はありませんが、株式市場が大きく下落したときや、重要な経済イベントがあったときには、念のため基準価額を確認しておくとよいかもしれません。

たとえば、リーマンショックやコロナショックのような世界的な経済危機が起きたときは、投資信託の基準価額も大きく下落する可能性があります。そういったタイミングでは、自分の投資信託がどの程度影響を受けているかを確認しておくことは意味があるでしょう。

ただし、相場が下落したからといって慌てて売却する必要はありません。むしろ、長期投資の観点では、下落は追加投資のチャンスと捉えることもできます。

3. 運用レポートで基準価額の変動要因を把握する

基準価額の数字だけを見るのではなく、運用会社が定期的に発行している運用レポート(月次レポートなど)も確認することをおすすめします。運用レポートには、基準価額が変動した理由や今後の見通しなどが記載されています。

運用レポートを読むことで、以下のような情報が得られます。

  • 基準価額の変動要因(株価や為替の影響など)
  • 投資信託が保有している主な銘柄
  • 資産配分の状況
  • 今後の運用方針

これらの情報を理解しておくと、基準価額が下がったときでも冷静に対応できるはずです。運用レポートは証券会社のウェブサイトや運用会社のホームページで入手できます。

基準価額が下がったときはどうすればいいのか?

基準価額が下がると不安になるかもしれませんが、対処法を知っておけば落ち着いて行動できます。

1. 慌てて売却しないほうがいい

基準価額が下がったからといって、すぐに売却してしまうのは賢明な判断とは言えません。相場は常に上下を繰り返すものであり、一時的な下落は投資の世界では当たり前のことだからです。

損失が確定するのは、実際に売却したときです。保有し続けている限り、基準価額が回復する可能性は残っています。特に、世界経済全体に分散投資するような投資信託であれば、長期的には成長が期待できるでしょう。

感情的な判断で売却してしまうと、後で基準価額が回復したときに後悔することになりかねません。投資を始める前に決めた投資方針を守ることが大切です。

2. 長期的な視点で投資を続けることが大切

投資信託は本来、長期投資に適した商品です。10年、20年といった長期で保有することを前提に投資すれば、短期的な値動きに振り回されることも少なくなります。

歴史を振り返ってみると、株式市場は短期的には大きく下落することがあっても、長期的には右肩上がりで成長してきました。一時的な下落局面で売却してしまうと、その後の回復局面での利益を逃してしまうことになるのです。

つみたてNISAやiDeCoなど、長期・積立・分散投資を前提とした制度を活用している方は、基準価額の下落を気にせず積立を続けることが成功への近道となります。

3. 基準価額の下落は追加投資のチャンスかもしれない

投資の世界には「安く買って高く売る」という基本原則があります。基準価額が下がっているということは、同じ金額でより多くの口数を購入できるチャンスでもあるのです。

ドルコスト平均法という投資手法をご存知でしょうか。定期的に一定額を投資し続けることで、基準価額が高いときは少ない口数を、安いときは多くの口数を購入できる仕組みです。この方法を使えば、平均購入単価を抑えることができます。

もちろん、無理に追加投資をする必要はありません。しかし、余裕資金があるなら、基準価額が下がったタイミングでの追加投資は将来的なリターンを高める可能性があると覚えておくとよいでしょう。

初心者におすすめの投資信託を紹介

基準価額の仕組みを理解したところで、初心者の方におすすめの投資信託をいくつか紹介します。

1. eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

アメリカの代表的な株価指数であるS&P500に連動する投資信託です。AppleやMicrosoft、Amazonなど、アメリカを代表する500社に分散投資できます。

この投資信託の魅力は、信託報酬が非常に低いことです。年率0.09372%程度という低コストで運用できるため、長期投資に適しています。アメリカ経済の成長を信じる方にはおすすめの商品といえるでしょう。

基準価額は為替の影響を受けるため、円高になると下がることもありますが、長期的にはアメリカ株式市場の成長が期待できます。つみたてNISAの対象商品にもなっているので、税制優遇を受けながら投資できるのも魅力です。

2. 楽天・全米株式インデックス・ファンド

楽天バンガード・ファンドとも呼ばれるこの投資信託は、アメリカ株式市場全体に投資できる商品です。S&P500よりもさらに幅広く、約4,000銘柄に分散投資しています。

S&P500が大型株中心なのに対し、この投資信託は中小型株も含んでいるため、よりアメリカ市場全体の成長を取り込めます。信託報酬も年率0.162%程度と低く、コストパフォーマンスに優れた商品です。

楽天証券で購入すると楽天ポイントが貯まるなど、各種ポイントプログラムとの相性もよいため、楽天経済圏を利用している方には特におすすめできます。

3. eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

通称「オルカン」と呼ばれるこの投資信託は、世界中の株式市場に分散投資できる商品です。日本を含む先進国から新興国まで、約3,000銘柄に投資しています。

地域別の配分は市場規模に応じて自動的に調整されるため、特定の国や地域に偏るリスクを抑えられます。アメリカだけでなく、ヨーロッパやアジアなど、世界経済全体の成長を取り込みたい方に適した投資信託です。

信託報酬は年率0.05775%程度と非常に低く、この1本だけで世界分散投資が完結するのも魅力です。投資初心者の方が最初に選ぶ投資信託としても人気があります。

まとめ

投資信託の基準価額は、日々の値動きに一喜一憂するためのものではなく、長期的な資産形成の過程で参考にする指標の一つです。基準価額だけでなく、トータルリターンや分配金再投資基準価額なども確認しながら、総合的に運用状況を把握することが大切だといえます。投資信託は長期保有することで複利効果が期待できるため、基準価額が一時的に下がっても焦らず、自分の投資方針に沿って運用を続けていくことが成功への近道となるはずです。

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