投資信託を選ぶ際、アクティブファンドとインデックスファンドのどちらにするか迷う方は多いのではないでしょうか。アクティブファンドを選ぶべきタイミングは、市場環境や運用者の実力を見極めることで判断できます。実は、すべての局面でインデックスファンドが優れているわけではないのです。この記事では、アクティブファンドを選ぶべきタイミングと、信頼できる運用者の見極め方について詳しく解説していきます。
アクティブファンドを選ぶべき市場環境とは?
アクティブファンドが力を発揮する市場環境には、いくつかの特徴があります。市場全体が一方向に動いているときよりも、銘柄ごとの差が大きい局面でこそ、運用者の腕が試されるのです。
1. 市場全体が停滞・混乱している時期
市場全体が横ばいや下落傾向にあるとき、アクティブファンドの本領が発揮されます。インデックスファンドは市場平均に連動するため、市場全体が下がればファンドも下がってしまいます。
一方、アクティブファンドの運用者は下落局面でも値上がりが期待できる銘柄を探し出したり、現金比率を高めてリスクを抑えたりできるのです。2020年のコロナショックや2022年の金利上昇局面などでは、優秀なアクティブファンドがインデックスを大きく上回る成果を出しました。市場が混乱しているときこそ、運用者の判断力が試されるタイミングといえるでしょう。
2. 銘柄ごとの差が大きい相場環境
銘柄間の値動きにばらつきが大きい相場は、アクティブファンドにとって理想的な環境です。すべての株が一斉に上がったり下がったりする相場では、わざわざ高い手数料を払ってアクティブファンドを選ぶメリットは少なくなります。
しかし、業種や企業規模によって明暗が分かれる相場では話が変わります。たとえば、成長株は好調だけど割安株は低迷している、あるいは大型株は伸び悩んでいるけど中小型株は活況といった状況です。このような環境では、どの銘柄を選ぶかで運用成績に大きな差が出ます。優秀な運用者は市場の流れを読み取り、有望な銘柄を厳選できるのです。
3. 長期的な視点で投資を考えるとき
アクティブファンドは短期的な成績よりも、長期的な視点で評価すべきです。市場環境は常に変化しており、ある年はインデックスが勝つこともあれば、別の年はアクティブが勝つこともあります。
10年、20年という長期スパンで見ると、優れた運用哲学を持つファンドは安定した成果を出し続ける傾向があります。短期的な値動きに一喜一憂せず、じっくりと資産を育てたい方にはアクティブファンドが向いているかもしれません。ただし、すべてのアクティブファンドが長期で良好な成績を残せるわけではないため、運用者の実力を見極めることが重要になります。
運用者の実力を見極める5つのポイント
アクティブファンドを選ぶ際、運用者の実力を判断するポイントがいくつかあります。過去の成績だけで選んでしまうと失敗する可能性が高いのです。
1. 投資哲学・運用方針に共感できるか
まず確認すべきは、ファンドの投資哲学や運用方針です。運用報告書や月次レポートを読むと、運用者がどのような考え方で銘柄を選んでいるかが分かります。
「割安な株を見つけて長期保有する」「成長性の高い企業に投資する」「配当利回りを重視する」など、ファンドごとに明確な方針があるはずです。この方針に自分が納得できるかどうかが大切なポイントになります。なぜなら、相場が思わしくないときでも、運用方針に共感していれば保有し続けられるからです。逆に、よく分からないまま購入したファンドは、少し下落しただけで不安になって売却してしまいがちです。
2. 過去の運用実績は参考程度に見る
過去の好成績が将来も続くとは限りません。実際、ある年に好成績を収めたファンドが翌年には平均以下になることは珍しくないのです。
それでも過去の実績を見る価値はあります。ただし、単に利益率だけを見るのではなく、どのような相場環境で成果を出したのかを確認すべきです。上昇相場だけでなく、下落局面や停滞期にどう対応したかを見ることで、運用者の真の実力が分かります。また、3年や5年といった長期での成績推移を確認すると、運用の安定性が見えてきます。短期的な好成績よりも、一貫した運用スタイルを保っているかどうかが重要なのです。
3. 信託報酬が成果に見合っているか
アクティブファンドの信託報酬は年1.0〜2.0%程度が一般的です。インデックスファンドが0.1〜0.5%程度であることを考えると、かなり高く感じるかもしれません。
しかし、信託報酬の高さだけで判断するのは早計です。大切なのは、その手数料に見合った運用成果が出ているかどうかです。たとえば、信託報酬が年1.5%でも、インデックスを年3%上回る成果を出していれば、差し引きでプラスになります。
以下の点を確認すると良いでしょう。
- 信託報酬控除後のリターンがインデックスを上回っているか
- 運用資産額に対して適正な報酬水準か
- 同じカテゴリーの他ファンドと比べて高すぎないか
信託報酬は運用成績から自動的に差し引かれるため、長期保有するほど影響が大きくなります。
4. ポートフォリオの中身が納得できるか
運用報告書には、ファンドが保有している銘柄の一覧が掲載されています。上位10銘柄程度を確認するだけでも、運用者がどのような考えで投資しているかが見えてきます。
聞いたこともない企業ばかりだと不安に感じるかもしれませんが、それはむしろ運用者が独自の視点で銘柄を選んでいる証拠かもしれません。一方、大型株ばかりでインデックスとほとんど変わらない内容なら、高い手数料を払う意味があるのか疑問です。
また、組入銘柄数も重要なポイントです。銘柄を絞り込んだ集中投資型のファンドは、当たれば大きなリターンが期待できますが、リスクも高くなります。逆に、100銘柄以上に分散しているファンドは安定性が高い反面、インデックスとの差が出にくくなります。自分のリスク許容度と照らし合わせて判断しましょう。
5. ファンドの資産規模が適正かどうか
ファンドの純資産総額も見逃せないポイントです。資産規模が小さすぎると、運用コストが割高になったり、最悪の場合は償還(運用終了)のリスクがあります。
一般的には、最低でも50億円以上、できれば100億円以上の純資産があると安心です。ただし、大きければ良いというわけでもありません。資産規模が大きくなりすぎると、小型株への投資が難しくなったり、機動的な売買ができなくなったりします。
中小型株ファンドなら数百億円程度、大型株中心のファンドなら数千億円でも問題ないでしょう。また、純資産の推移も確認すべきです。資金流入が続いているファンドは、多くの投資家から支持されている証拠といえます。
バリュー株とグロース株で選び方が変わる理由
アクティブファンドは投資スタイルによって得意な市場環境が異なります。バリュー株ファンドとグロース株ファンドでは、選ぶべきタイミングが変わってくるのです。
1. バリュー株ファンドが強い市場環境
バリュー株とは、企業の本来の価値に比べて株価が割安な銘柄のことです。金利が上昇する局面や景気回復期には、バリュー株ファンドが力を発揮します。
金利が上がると、将来の成長よりも現在の利益や配当が重視されるようになります。そうなると、すでに安定した収益を上げている割安株が見直されやすいのです。2022年から2023年にかけて、世界的に金利が上昇した局面では、バリュー株が大きく上昇しました。
また、景気が底を打って回復に向かう時期も、バリュー株ファンドの出番です。不況で売られすぎた優良企業の株が、景気回復とともに本来の価値を取り戻していきます。このタイミングを狙うのがバリュー投資の醍醐味といえるでしょう。
2. グロース株ファンドが強い市場環境
グロース株は、高い成長性が期待できる企業の株式です。低金利環境や、新しい技術やサービスが次々と生まれる成長期には、グロース株ファンドが有利になります。
金利が低いと、将来の成長に対する期待値が高まります。今は利益が少なくても、将来大きく成長する可能性があれば投資家は買いたくなるのです。2020年から2021年にかけての超低金利環境では、テクノロジー関連のグロース株が大きく上昇しました。
また、AI、脱炭素、バイオテクノロジーなど、新しい産業分野が注目される時期もグロース株に追い風です。これらの分野は市場規模が急拡大する可能性があり、先行企業は大きな利益を得られます。成長株に投資するファンドは、こうした時代の流れをいち早く捉えて投資するのです。
3. どちらを選ぶべきかの判断基準
バリュー株とグロース株のどちらを選ぶかは、現在の市場環境と今後の見通しで判断します。ただし、市場のタイミングを完璧に読むのは専門家でも難しいのが現実です。
そこで考えたいのが、両方のスタイルをバランスよく持つという選択肢です。バリュー株とグロース株は値動きの傾向が異なるため、両方を組み合わせることでリスクを分散できます。
以下のような選び方も有効です。
- 景気敏感セクターが多いならバリュー寄り
- テクノロジーや新興企業が多いならグロース寄り
- バランス型のファンドを選ぶ
自分の投資期間や目標リターンに合わせて、どちらのスタイルが適しているか考えてみましょう。
インデックスファンドとどう使い分けるべきか?
アクティブファンドとインデックスファンドは、それぞれ得意な場面があります。両方の特性を理解して使い分けることが、賢い投資につながるのです。
1. インデックスファンドが有利な局面
市場全体が右肩上がりで成長しているときは、インデックスファンドが有利です。運用コストが低いため、市場平均に近いリターンを効率的に得られます。
また、投資初心者や、投資に時間をかけたくない方にもインデックスファンドは向いています。ファンド選びで悩む必要がなく、市場全体の成長を享受できるからです。米国株式市場のように、長期的に成長が続いている市場では、インデックスファンドを持ち続けるだけで十分なリターンが期待できます。
さらに、アクティブファンドの中には、インデックスとほとんど変わらない銘柄構成のものもあります。そのようなファンドに高い手数料を払うくらいなら、最初からインデックスファンドを選んだほうが合理的でしょう。
2. アクティブファンドが有利な局面
市場が停滞したり、銘柄ごとの格差が大きい局面では、アクティブファンドの強みが発揮されます。運用者の銘柄選択能力によって、市場平均を上回るリターンが期待できるからです。
また、新興国株式や小型株など、効率的な市場とは言えない分野では、アクティブ運用が有効です。情報が少なく、投資家の注目度が低い銘柄ほど、割安な株を見つけやすくなります。
テーマ性のある投資をしたい場合も、アクティブファンドが適しています。たとえば、「環境関連企業」「配当重視」「中小型成長株」など、特定の分野に集中投資するファンドは、自分の投資方針に合わせて選べます。インデックスファンドでは実現できない、尖った投資ができるのです。
3. 両方を組み合わせる方法もある
実は、アクティブファンドとインデックスファンドを併用するのが、最もバランスの良い選択かもしれません。コア・サテライト戦略と呼ばれる方法です。
資産の70〜80%をインデックスファンドで運用し、残りの20〜30%を厳選したアクティブファンドに投資します。インデックスファンドがコア(中核)となって安定的なリターンを確保し、アクティブファンドがサテライト(衛星)として上乗せを狙うイメージです。
この方法なら、アクティブファンドの選択を間違えても、全体への影響は限定的です。一方で、優秀なアクティブファンドに投資できれば、ポートフォリオ全体のリターンを引き上げられます。リスクとリターンのバランスが取れた、現実的な戦略といえるでしょう。
おすすめの具体的なアクティブファンド
実際にどのアクティブファンドを選べば良いのか、具体的な商品を紹介します。ただし、投資は自己責任ですので、必ず運用報告書などで内容を確認してから判断してください。
1. ひふみ投信(国内株式アクティブ)
ひふみ投信は、日本の成長企業に投資するアクティブファンドです。2008年の設定以来、長期にわたって優れた運用成績を残してきました。
運用方針は「守りながら増やす」で、下落局面では現金比率を高めてリスクを抑えます。一方、上昇局面では積極的に株式を買い増すという、機動的な運用が特徴です。中小型株を中心に投資しており、大企業だけでなく、将来性のある中小企業も多く組み入れています。
信託報酬は年1.078%(税込)で、アクティブファンドとしては標準的な水準です。新NISAのつみたて投資枠でも購入できるため、長期積立にも向いています。運用責任者が積極的に情報発信しており、運用方針が理解しやすい点も魅力でしょう。
2. スパークス・新・国際優良日本株ファンド
このファンドは、国際競争力のある日本企業に厳選投資します。組入銘柄数を30〜40銘柄程度に絞り込んだ集中投資型で、運用者の確信度が高い企業だけを選んでいます。
投資対象は、グローバルに事業を展開し、高い収益性を持つ企業です。単なる大企業ではなく、技術力や ブランド力で世界と戦える企業を重視しています。長期保有を前提としており、短期的な株価変動にはあまり反応しません。
信託報酬は年1.980%(税込)と、やや高めの設定です。しかし、厳選した銘柄への集中投資によって、インデックスを大きく上回る成果を目指しています。じっくりと資産を育てたい方、銘柄選びに自信がある運用者に任せたい方に適したファンドです。
3. 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね(米国株)
米国株に投資したい方には、「おおぶね」がおすすめです。このファンドは、米国の優良企業に長期投資することで、着実なリターンを目指しています。
投資先は20〜30銘柄程度と少数精鋭で、有名企業だけでなく、独自の調査で見つけた優良企業も含まれます。「10年後も成長し続けている企業」を基準に選んでおり、短期的な業績よりも企業の本質的な価値を重視します。
信託報酬は年1.377%(税込)です。米国株ファンドとしては平均的な水準といえます。S&P500などのインデックスとは異なる銘柄構成で、独自のリターンが期待できます。米国市場に投資しつつ、インデックスとは違った運用を求める方に向いているでしょう。
まとめ
アクティブファンド選びで大切なのは、市場環境だけでなく、運用者の哲学や実力を見極めることです。信託報酬の高さだけで判断せず、その対価として得られる価値があるかを考えましょう。また、アクティブファンドとインデックスファンドを組み合わせることで、リスクを抑えながら運用成果の向上を狙えます。投資は長期的な視点が重要ですから、焦らず自分に合ったファンドを探してみてください。今後は、具体的な運用報告書の読み方や、ポートフォリオの組み方についても学んでいくと、より深い投資判断ができるようになるはずです。

